「ディスカス〜」以来の大崎善生だった。「ディスカス」の時には、おいおいどこに行くんだ、大崎!自分の趣味の話しかい。とせつなくなったが、今回はパイロットフィッシュやアジアンタムブルーを彷彿させる極上の恋愛小説でせつなすぎる物語だ。 ドイツへの転勤を目前にした「僕」直人と広島に死を間近に迎えている父を持つ理沙。決定的な別れを二人は避けて、愛し合いながら離れ放れになっていく。 ドイツから何度も連絡を取っても音信不通となり、僕は闇に取り込まれていく。この何度も繰り返される「闇」のモチーフが素晴らしい。ステファニーというプラチナブロンドの恋人がすぐに出来てしまうあたりが、大崎らしいところだが、またこのステファニーが素敵すぎる。僕を取り巻く「闇」に少しずつ光を与え、その優しさに胸が苦しくなる。 しかし、三年半たって僕は日本に帰り、物語は劇的に展開していく。 人が人を想うということはどういうことなのだろう、そこにある「記憶」と現在の状況。ラストのまばゆくばかりに広がる海の光に、主人公が見る未来は決して物語の中の二人だけのものではあるまい。いやぁ〜しびれた。最高でした。今年上半期の一番です。