2010年2月11日放送のNHKスペシャル「ランドラッシュ 世界農地争奪戦」をベースとして各地域で実際に取材に当たった担当者たちがまとめた本です。
ウクライナ、ウラジオストク、エチオピア、マダガスカルなどで進められている外国企業による零細農民からの農地の集約と元農地所有者による小作の実際が詳細に描かれています。
中国、インドなどの政府の政治力をも活用した強力な後押しを背に、最新の農機を使用して、広大な農地で穀物を生産する。連作障害や農薬の多様による環境への負荷は厭わない。使えなくなれば、他の地域へと新たな農地を求めて資本が移動する。
こうした環境破壊型の資本主義的な穀物生産が引き起こす問題を読むことが初めてだったので、本書が表す遠い外国で起きている確かな現実に強い驚きを感じました。
こうした動きに対して、日本の外務省や東北の一農家の試みは、微力ではあるけれども、日本人の両親の現れとして、これもまた、驚きに値する事実でした。
07〜08年の食糧危機が顧みられることもなくなった今日、こうした書が呈示する問題を知り、一人ひとりが「世界の食糧」について考えることは大切ではないでしょうか。