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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ねじれ。,
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レビュー対象商品: ランドマーク (単行本)
いきなり冒頭から始まるカウントダウンに、まず驚きました。一体何が起こるのか?と、緊張感が走ります。建築中のスパイラルビル。この捻れたビルが、視覚的にも、こちらに不安感を抱かせるように思います。二人の主人公、隼人と犬飼は、このスパイラルビルの建築に携わる人物ですが、隼人はビルの内側で働く鉄筋工であり、犬飼は設計士としてビルの全体像を把握し俯瞰する立場にある者です。二人は僅かに、冒頭近くで、ちらりと目線を絡ませるくらいで、直接の交わりはないまま物語が進んでいきます。読む方は、じりじりしたような、一体どこでこの二人が接するのか、いつか何かが起こるに違いないという焦燥感めいたものを感じます。 隼人、犬飼それぞれの女性関係や、日々の鬱屈、仕事にまつわることなどが描かれるうちにもビルは、上へ上へ捻れながら立ち上がっていく。その際に、途中の階から、隼人がコンクリに埋め込む、ある物の小さな鍵と、その行為が何か呪術めいていて、いっそう不安感を掻き立てられるようでした。最終章へのカウントダウンは、章がすすむにつれてスピードをあげていくかのようです。ビルの捻れが、隼人、犬飼それぞれの内的世界と重なるようで、こちらの気持ちも捻れがかかったようで、建設中のビルを駆け上がっていくような気分にさせられました。特に、ラストに向けてのシーンでは、犬飼の独白調の言葉が 畳みかけるような圧力でこちらに押しよせてきます。うまい。見えないはずのスパイラルビルが、まるで、3Dの絵がある瞬間、目前に立ち上がってくるようでした。 吉田氏自身が、ようやく本当の意味での小説を書くことができた、ということを表明していたと思うのですが、『ランドマーク』は、彼自身のそれになり得るかもしれないと感じました。
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ヴァーチャルを禁じ手に、現代の“リアル”を描く吉田修一の世界,
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レビュー対象商品: ランドマーク (講談社文庫) (文庫)
吉田修一は最近では珍しい、“現代社会”と向き合う作家である。最近の小説は、「過去」と「現在」あるいは「現実」と「幻想」を行き来する“ヴァーチャル”で“おたく”なアプローチが流行りである。そんな中で吉田修一はあえて、“リアル”みたいなものにこだわっている気がする。浜崎あゆみの歌詞を引用する作家なんて他にはまずいないだろう。陳腐で同じ内容を呪詛のように繰り返す浜崎あゆみの歌は文学的には評価されないだろうし、出来れば目をつぶりたい存在だ。だがメガヒットも、求めている大衆がいるということも“リアル”である。良し悪しや好き嫌いではなく、現代社会の風俗をスーパーリアリズムに写し取る、というのがこの作者の姿勢だと思う。先行する作家に村上龍がいると思うが、村上龍初期のダイナミズムや、近年のギミックといったわかりやすさは吉田修一にはあまり感じられない。本作は、まさに現代日本を象徴するような都市“大宮”のランドマーク・タワーの建築に携わる2人の人物が主役である。2人は同じプロジェクトに関わりながらお互いを知るわけではない。建築家と鉄筋工、妻帯者と独り者、都会人と地方出身者と対照的な2人の“リアル”は、しかしながらパラレルの関係にある。このランドマークが象徴するように2人のそれぞれの“リアル”はちょっとした設計ミスで弾け飛び、一気に崩壊してしまう危うさを抱えているのだ。 本作が残念なのは、現代社会の活写だけで読者に伝えるべきニュアンスに、時々作者の説明が蛇足的に加わってしまう点、そして小説の最後がまるで舞台演劇のようにシンボリックな終わり方をする点だ。 それでも、あえてヴァーチャルという手口を使わずに現代の“リアル”を捕捉しようとする作者の姿勢と力量は十二分に感じ取ることが出来る。紛れも泣く現代の“リアル”を描いた作品だ。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
続編希望,
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レビュー対象商品: ランドマーク (講談社文庫) (文庫)
大宮に建設中の螺旋状のビル『omiyaスパイラル』の設計士・犬飼と鉄筋工・隼人の二人のゆがんだ日常が描かれています。 続きが気になりどんどん読み進めて行く事が出来たんですが、最後の終わり方がイマイチだったように思います。建設中の『omiyaスパイラル』で起きた首吊り自殺事件のあと 『omiyaスパイラル』や犬飼がどうなったのか、隼人はその後どういう人生を送るのか(こずえとの関わり)など気になってしまいました。 ちょっと尻すぼみな感が否めないなと思いました。 ぜひ、続編を希望します。
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