アンドレ・テシネ監督、オリビエ・アサイヤス共同脚本、1985年製作作品。
聞いただけでワクワクするような製作スタッフに加えて、J・ビノシュのオール・ヌード・シーンが話題となった。
ひとこと言えば、前年1984年のアンジェイ・ズラウスキー監督「私生活のない女」によく似ている。
ランベール・ウィルソンが主役級で出演しているし、舞台劇と絡ませる筋立ても似ている。
しかし若い時とはいえさすがにビノシュ、「私生活・」のヒロイン、カプリスキーとは格の違いを感じさせる。
1983年にデビューしたばかりとは思えないほどの存在感がありながら、しかもフレッシュだ。
唄い文句ほど過激な映画ではないし、秀作、佳作というほどのレベルでもないがビノシュの持ち味である清冽さは十分生かされている。
大根とののしられるほどへたくそな舞台役者(セリフが2つだけのメイド役)をシラジラと演じてみせる二重性、降ってわいた大役抜擢への逡巡など内面性の表現も巧みで、後年のカラックス作品に通じるものがある。
カンタンの亡霊がニーナの前に現れ彼女に暴力を振るうシーンなどは、幽霊の割にずいぶん過剰な干渉で少し違和感がある。全体的にあまり切れのあるストーリー展開ではない。
後半になって登場する大御所J・L・トランティニャンも少し影が薄い。
特典映像はランベール・ウィルソンへのインタビュー、自身の分析や共演したビノシュについて淡々と語っている。
なるほどとうなずかされる部分も多い。