とても大好きな映画です。タイトルが「愛人」で無修正とくればただのエロ映画かとみなしがちかもしれませんが、そんなことはありません。
過激、というよりは濃密な性描写があるのは事実で親と一緒にみる、
なんてことは出来ないでしょうが(笑)
この映画ではその濃い性描写も欠かせないものとなっています。
特に三番目のラブシーンにでは重なった肌の毛穴まで見えるほどアップが連続して映し出され、
苦悶する二人の表情と交差します。
けだるいインドシナの熱気と彼らの体温まで伝わってきそうな場面でもあります。
華僑の金持ち中国人青年と、当時植民地であったベトナムでは支配層にいるはずのフランス人少女。
人種差別や劣等感、家族への愛憎やプライドなどもあいまって二人の愛は結局すれ違いになります。
十代に少女にいいように振り回されるレオン・カーフェイも気の毒ではありますが(笑)
アヘンを吸いながらやさぐれて「君に恋い焦がれて死にそうだ」と投げやりに言う彼には
なんとも言えない魅力に満ちていました。
またジェーン・マーチもはっとして息をのむ…ほどの美少女ではありませんが、
突き出た唇が妙に印象に残る危うい色気があります。
船上でショパンが流れるあのシーンでは、少女の残酷さや愚かさその反面での純粋な愛や
優しさに心動かされた方もおおいのではないでしょうか。
ただ好きよ嫌いよ、といって進む映画ではなく恋を初めとして多くの感情や人間の内面を
美しくも頽廃的な景色・音楽に乗せてうまく表している名作だと思います。