ここまでリアルな風俗漫画を読んだことがない。
風俗嬢やAV嬢へのインタビュー集や体験コミックをいくつか読んだことはあったけれども、この本で描かれる風俗で働く女性の心の揺れと変化はすごくリアルで、唖然困惑納得の連続。
お金がほしいという理由だけでふらりと風俗の仕事に応募してしまうくだりは「まぁあるかも」、でも初めて客をとる時の緊張ぶりや仕事に慣れない自分への疑問、さらに恋人への罪悪感が薄い自分への疑問や仕事場での細かい描写など、とにかく怖いくらいリアルだ(フィクションだとしたら大したもの)。
いちばんの読みどころは、徐々に主人公の気持ちが変化していくところだろう。
最初は口から心臓が飛び出るくらい緊張した風俗仕事も、徐々に「どってことない」と思えるようになる。でもその頃から気づかぬうちに仕事への姿勢が変化していて、それは自分自身が変わってきているためなんだけど、そこが意識されていないところが怖い。
作中に登場する「あたしは風俗を誇りに思っている」という友人は意味不明。たしかにそういうことを言う人がいるかもしれないが、この本を読むとそんなことを言う人の異常さが少しわかる。もしくは風俗界にはまったく違うタイプの人が多いのか?
この本の主人公は風俗で働くことが憂鬱な(でもお金になるから続けている)フツーの女性。
ただ、主人公は決して「真剣に」「深く」ものごとを考えない。そういうタイプが風俗業界に多いのかどうか不明だけど、深く真剣に考える人はこの業界では働かないのではないかと思わせるものはあった。
読み進めるうちに少しずつ重い気持ちになるものの、ラスト、自分の経験を振り返るところで救われる。
読後感は悪くなかった。