2005年6月ロサンゼルスでのライヴを収録したDVD。2003年に引退したレイ・トーマスを欠いた編成での初めての映像ということになる。そして、今まで長らく取り上げられなかった楽曲の数々が演奏されている(メンバーが旧譜のリマスタリングに立ち会ったことがそのきっかけのようだ)のが本作のセールスポイントだ。
レイに代わるフルート奏者として前作「ディセンバー」から参加しているノルダ・ミューレンは素晴らしい。彼女がレイ・トーマスではないという一点を除けば完璧だと思う。彼女を始めとするサポートメンバーの活躍は本作の見どころのひとつで、パーカッショニストのゴードン・マーシャルまでもがフルートを吹く「アー・ユー・シッティング・コンフォータブリー?」の仕上がりは、レイがいた頃には実現できなかっただろう。
そんな中で3人のオリジナル・メンバーは、かつて代表曲の中で歌っていた通りの(初老の)ロックンロール・シンガーとしてのありのままの姿を見せている。確かに寄る年波には勝てない部分もあるが、幻想に満ちたプログレ教のグルでいるよりもそれはずっと好もしいものだ。そして「アクター」や「的はずれの一言で」、「ディセンバー・スノウ」での感情のこもった歌に聴き手は何度も鳥肌を立てることになるだろう。そして「ハイヤー・アンド・ハイヤー」でタンバリンを振るって踊りまくるグレアム・エッジ62歳!これを目撃するだけでも価値ある一枚である。