深夜、FMからもんたよしのりの「デザイア」が突然流れてきて、たまらなく今作が観たくなった。
80年代の日本映画界屈指の名監督相米慎二唯一の日活ロマン・ポルノ作品。撮影期間は10日間だったと言う。相米の十八番長廻しの撮影技法が、前述の「デザイア」や山口百恵の「夜へ、、、」、昭和歌謡のセンチメンタルな情念にのって、時に官能的、時に情動的に妖光輝く。鏡に反射される志水李里子への凌辱、マンションのベッドからキッチン、ソファにずるずると移動しながら絡み合う速水典子と益富信孝、二度に渡るラブホテルでの速水と寺田農のベッドシーンでの快楽と悔悟が混ぜ合わさったエロチシズム、と言ったロマン・ポルノらしいエロチックな描写と、例えば、堤防での寺田と速水の“あの時”以後のふたりの人生を語りあうシーンや、有名なあまりに哀切な速水の一人電話のシーンと言った名場面が目白押し。事業失敗、サラ金地獄、デリヘル、不倫、エロスの“赤光”、タナトスの“青光”、再会、天使、そして別離。お馴染みのシチュエーションの中、名美シリーズ、そして数ある相米作品の中でも、ひょっとしたら、最もロマンチシズムと情感に溢れた1作になっているのではないか。
日活ロマン・ポルノ最後の、そしてポルノとの枠を外しても差し支えない“情愛映画”の傑作。