「天国の本屋」シリーズとも、「ホワイトグッドバイ」とも違う、いい意味で軽いテイストの作品。これまでの松久淳+田中渉作品しか読んだことのない人にとっては、この文体にちょっととまどうかも知れないが、松久氏のサイトに行ったことのある人なら、むしろこの「ラブコメ」の文章タッチこそ氏の持ち味そのものということにすぐ気づくはず。普段から氏のサイトを見ている人は、本筋と離れて、ニヤリとさせられる部分が多いのではないだろうか。
随所にちりばめられた小ネタや、「劇中劇」的ストーリーなど、やや作り込みが細かすぎるきらいもなくはないが、これも「知らない人はそれなりに、知っている人はかなり愉しい」という氏の作品の醍醐味。個人的にはかなりツボをつかれたような気がする。
読後に不思議な高揚感の残る佳作。
それから、巻末に書いてある「主題歌」「挿入歌」だが、是非ヘビーローテーションで聴きながら読むことを強くお勧めしたい。特に高橋幸宏ファンの人には。