最初に書くが、1〜3番はこのラフマニノフの演奏が「完璧」だと思う。
初めてこの演奏を聴いたとき、「私の求めていたものはこれだ!」とわかった。
これ以上ないくらい甘ったるいメロディのはずの曲が、自己陶酔のかけらもなく、
クールに、しかし情熱をもって演奏される。
テクニックを見せつけるようでいて自分を客観視しようとしているのが感じられるような
作曲家兼演奏家の類を見ない芸術がここにある。
特に2番と言えば、アシュケナージのロマンティックな演奏やリヒテルのおどろおどろしい
までの演奏が、一般の聴衆がこの曲に持っているイメージに一番近いのではないかと思う。
後世のピアニスト達がとことんロマンティクな演奏をしたことによって、
この曲の評価が高まったことについては否定しない。
しかし、本来ラフマニノフが作った曲は、彼自身の演奏によって表現されている。
これだけ甘いメロディを、いともあっさりと、さらっと弾き流してしまう。
思わず「Cool!」と言いたくなるような演奏。
かつてミケランジェリは「完璧な1〜3番はラフマニノフ自身が残している」と言って
4番のみ録音したそうだが、確かに4番以外はラフマニノフが演奏したこの盤が
「これ以外にない」完璧な演奏だと思う。
(4番だけはミケランジェリに軍配が上がるだろう。)
好みは人それぞれだが、ラフマニノフ=甘ったるい曲、というイメージで好きになれない人や
「何か違うんだよな〜」という違和感を抱いている人は、ぜひ一度聴いてみてほしい。
私はリヒテルも好きで、気分で聞き分けている。
最初に「完璧」と書きましたが、もちろん「完璧」以外の演奏はたくさんあります。
念のため。