第1曲は、動きの速いオーケストラで始まり、後に合唱が加わるが、プレトニョフの指揮は緻密かつ抑制がきいている。
「鐘」関しては、演奏が、いかにもロシア正統派的と感じるが、その雰囲気が非常に良い。
4曲から成る「鐘」は、演奏時間が約35分で、それぞれに表題がある。
他曲とカップリングされたアシュケナージ盤の「鐘」は、プレトニョフよりも、ずっと感情移入をしている。
どちらも、オーケストラの扱いが巧みだが、プレトニョフは、何と厳格で緻密な抑制、細緻な表情を見せる指揮者だろう。
「鐘」が目的なら、本プレトニョフ盤とアシュケナージ盤とのどちらを選ぶかを、迷うところだ。
ところが、本CDではタネーエフ作曲の「ダマスクスのヨハネ」がカップリングされている。
この3曲からなるカンタータは、私は本CDで初めて聴いたが、1度聴いただけで好きになった。
第1曲は豊潤な響きで始まるアダージョで、次第に合唱が重なり、そしてフルオーケストラ化して盛り上げる、長大な曲だ。
第3曲は長いフーガで、これも指揮の緻密さとあいまって、聴き応え十分だ。
この「ダマスクスのヨハネ」の聴き応えを加味する場合、どちらを選ぶかという参考にされると幸いだ。
あまり聴き馴染んでいない曲を、好んで聴く方には、たまらないだろうと思う。
とにかく、買って良かったと思える一枚だ。