アシュケナージはラフマニノフのピアノ協奏曲全集を2度録音している。特にハイティンクと録音した2度目のものは、録音技術の粋とあいまって、まさしく歴史的名録音と呼ぶに相応しいものであった。しかし、このプレヴィンとの1回目の録音も素晴らしいので、忘れるわけにはいかない。
プレヴィンの指揮は聴きものである。彼は、カットして演奏されることが常であったラフマニノフの第2交響曲の「完全版」を世に知らしめるなど、ラフマニノフに関しては相当含蓄の深い存在であったし、アシュケナージとは親交が深く、ラフマニノフの、2台のピアノの為の作品を収録した仲でもある。それで、ラフマニノフのスコアを知り尽くしたという自信があるに違いない。だから、オーケストラが輝かしく響く。
第4協奏曲は渋い作品だが、プレヴィンの好サポートにより、わかりやすい演奏となっている。散漫なイメージのある後半も、道筋がしっかりしていて頼もしい。
パガニーニの主題による狂詩曲は、とにかくテンポが抜群で爽快。加えてアシュケナージの胸をすくようなテクニックが万全の聴き映えをもたらしている。映画などで使用され、すっかりおなじみの第22変奏の盛り上がりは感動的だ。フアンにはぜひこの旧録音も押さえてほしい。