自分はラフマニノフの自作自演の演奏で初めてこの曲を知り、
アシュケナージ、リヒテルと聴いたが、このCDは他の演奏と
と違う特徴がある。
それはピアノという楽器をじっくりと聴かせる点にある。
他の演奏ももちろん聴かせるが、このCDのように
精細でじっくりとピアノの世界に引きずり込むような
演奏はなかった。
この精細さは下手に扱うと割れてしまうような感じ。
しかしその音には、ヒシヒシとこのピアニストの信念を
強く感じる。
技術的にも、第1番の出だしや第2番の出だし等、
凄く巧いし速かった。
孤高のピアノニストの演奏というはこういう演奏を
言うのだろう。
確かに、ラフマニノフというイメージからすると少し違うの
かもしれないが、ピアノという楽器の価値を感じる点において、
聴き逃せないCDだと思う。
オケはツィマーマンの意図を尊重し、サポート役に徹している。
競争という意味では物足りないかもしれないが、このCDの意図
としては完璧!
小澤征爾の演奏は、例えベートーヴェンでも、作品と少し違う表面的な
音楽効果を聴くことがあるためか、あまり高く評価しない向きもある。
ただこのCDでは作品の良さを引き出している。
例えば第2番第1楽章で、最初から7分経ったところで
盛り上がるシーンがある。
普通であれば、ピアノとオケ全体の音に集中しがちだが、
このCDではオケの音がより引き締まって聴こえるためか、
ティンパニの音にも注意が向いてしまった。
協奏曲というと、オケに関して本気?と思うものも少なくないが、
ここでの演奏は真剣そのものだし、聴き応え十分だと思う。