本書を知ったのは、ある月刊誌の本の紹介欄だった。そこで、「ラバウルの宇奈月温泉」という部分が目にとまった。
宇奈月温泉といえば、富山県民ならば誰でも知っている温泉地で、その名称があのラバウルの温泉につけられているとは知らず、興味を持ったことが本書の購入理由。
正直、宇奈月温泉の知名度は決して高くないのに、誰がつけたのだろう? その辺もわかると良かったのだが、はっきりしなかったのが残念。
本書では、元日本兵や現地の住民、当時をよく知る方々の回想も多く採用されており、当時の状況を知るうえでもためになる。現地の方々は決して日本人に悪い感情は持っていなかったのだ。(このことは本書でも紹介されているが坂井三郎氏や吉田一氏らの著書からも読み取れる)
また、本書では温泉というものが日本人にとってなくてはならない、といえばいいすぎかもしれないが、非常に大きなものであることを再認識させられる。マラリアに罹っても入りたい、そう思わせるものであったという。中には「戦時中に温泉?正気か?」という意見もあるかもしれないが、前述の坂井氏の著書を読むと、温泉は憩いの場であり、癒しの場であったことが読み取れる。
本書を読むに当たっては、参考文献にあげられている著書を読んでいるとなお良いと思う。