日本における比較文法の第一人者で印欧語の研究の専門家である風間喜代三氏によるラテン語文法の解説書。
文法の基礎から、カエサル、キケロなどの著作から選んだ名文集も収録されている。
ただ、一般的な文法書と異なり例題などが掲載されていないため、本書だけでラテン語文法を習得しようとするのは難しい。むしろ、本書を通じてラテン語の世界に親しむ、というのが著者の意図するところであろう。
そのような本書の中でひと際精彩を放っているのが文法解説の合間に挿入されている随想。
ローマ人の食事や医術、結婚などが古典の引用や他言語の比較などから丁寧に行われており、氏の名著『ことばの生活誌』『ことばの身体誌』を髣髴とさせる筆致は、比較文法家の面目躍如といえるだろう。