ドイル傑作集最終巻となる本書は、SFテイストの短編をあつめた作品集。
ほかの巻と比較すると、挿し絵が少ないのがちょっと残念。
表題作 「ラッフルズ・ホーの奇蹟」 は、たっぷり150ページある読みでのある中編。
片田舎に建造される謎めいた豪壮な邸宅に、やがて越してくる奇妙で不思議な大金持ち。
登場人物たちが絡みあい、奇抜なストーリーだけではなく人間模様が興味深い作品。
「体外遊離実験」 と 「ロスアミゴスの大失策」 は、ドイルが得意とするユーモア小説。
一種ドタバタ劇の楽しさが味わえる短編。
「新発見の地下墓地」は、イタリアを舞台にしたサスペンスで、情景描写が魅力的。
「危険!」 は、敵国側から英国との戦闘を語るという、ちょっと変わった作品。
当時最新兵器であった、潜水艦による戦闘をリアルに描いた近未来小説。
ビクトリア時代という、堅苦しさの中に垣間見える、社会の裏側や人々の本音。
人前では行儀の良い恋人たちが、人目のないところでは熱い抱擁をかわし、一見礼儀正しい紳士が、胸の奥では様々な黒い策略をめぐらせる。
ドイルの小説のおもしろさは、そんな裏表のコントラストにあるような気がします。