<このミステリーがすごい!2009>の
第10位にランクインした作品です。
人間が何かを知覚する過程で、
前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまうことを
文脈効果といい、
その例えとして「ラットマン」の絵がある。
同じ絵でも、動物と並んでいると、ネズミに見え、
人の顔と並んでいると、おじさんに見えるのです。
この作品は「ラットマン」をキーワードに、
高校時代から14年続いているアマチュアロックバンドが
練習中のスタジオで遭遇した事件の顛末と、
そのメンバーである主人公の現在と過去が語られていきます。
ミステリーとしてのトリッキーな仕掛けは、
後半の60ページに二転三転しながら、
明かされていきますが、
この仕掛けを効果的にしているのが、
優しさです。
ラストになぜこの作品が「ラットマン」という
題名なのか判明しますが、
そこには救いがあります。
それは、作者が登場人物に
優しい視線を投げかけているからなのです。
単なるミステリーでは終わらない、
心のこもった作品という印象を受けました。