なんと二之宮良子を差し置いて天草沙代が先に表紙を飾った第4巻。しかも超カワイイ。さ・ら・に、巻頭カラーイラストの沙代、破壊力あり過ぎ。何かを予感させると期待したが期待以上だった。
”恋の伝道師”による占いのちょっとした手違いからドタバタに発展する【第1話】は、ロジックのズレを活かした実に作者らしい内容で、ストーリー展開の巧みさが秀逸。男性読者多数だろうにBL要素まで盛り込んでみんなを占い成就に奔走させ、本人達の自覚が無いままに成就なり無効にさせていく手腕は見事である。何気にストーカノジョが活躍している。
良子の心に変化をもたらす【第2話】は、ベタな王道展開だが、雅人に対する良子の気持ちに大きな変化を与える萌芽となった。後は勝手にどんどん想いが強くなっていくだろう。ウブな良子を後押しする【女ボス】佐野夏美がいい仕事をしている。こういう介添え役がいないと2人の仲は進展しないだろうから今後も貴重な存在になっていくと思う。しかし、良子が出てくると漏れなく付いてくる兄は今回もぶっ飛んでいる。ただ、ちょっと邪魔になってきた感もある。
沙代が雅人を雇って自縛霊退治に行く【第3話】では、沙代のツンデレぶりとパンチラ&全裸担当ぶりが遺憾なく発揮されている。ビルに立て籠もった自縛霊7体の、それぞれの生前の趣味が反映された変態ぶりが実に有沢作品らしい。それらを沙代とキチ、そして知らぬ間についてきたトトが退治していくのだが、最後でちょっと、というかかなりヤバいことになる。このピンチを雅人が救う。最後の最後に魅せた雅人の漢っぷりに沙代の気持ちがさらに傾くのだが肝心の沙代本人にその自覚は無いのである。ただ、結末で良子と沙代が鉢合わせする場面があり、雅人への気持ちにはまだほとんど無自覚な2人がなぜか恐ろしく鋭く冴え渡る女の勘でお互いを(おそらく将来)恋のライバル(になるだろう)と認識するシーンは本巻の白眉。会話は全く交わさずそれぞれのモノローグだけで双方の心理と葛藤を描く素晴らしい演出である。
肝心のキチだが、ストレートな愛情を雅人にぶつける愛らしさは変わらず。しかしトトの参戦でこれからは難儀しそうである。キチとトトのお子ちゃま対決も、さじ加減を誤ると良子(兄)のようにくどくなるので要注意。そのキチが良子の誕生日にロウソクの揺らめく火を見て言いしれぬ不安を感じ、ぼんやりとした記憶の存在に怯えたり、キチの能力を見た沙代が何かに気付いたりと、水面下で動いているものもある。そして地底湖のロウソクもまた1本消えている。