【あらすじ】
稀代の魔術師の娘であるラズベリーは、継母から《黒イチゴ城》の名前で知られる
オンボロ城を、厄介払いの如く押し付けられてしまう。《黒イチゴ城》の城主とな
ったラズベリーは、仕方なく《黒イチゴ城》へと引っ越すことに。
《黒イチゴ城》という名前の由来は、城の周囲に無数の黒イチゴが生っているから
だった。しかも、その黒イチゴには恐ろしい猛毒が……。
そんな危険極まりない城で、ラズベリーは棺で眠っているリヒトを見つけ、
『くちづけは一度でじゅうぶん二度するな』
という亡き父の遺言(?)に従ってキスをし、目覚めさせる。
執事としてラズベリーに仕えることになったリヒトと親切な領民たちに囲まれ、平和
な毎日を過ごすラズベリー。しかし、平和は長くは続かなかった。ラズベリーを追い
出してせいせいしている筈の継母が、ラズベリーの天敵である愛娘二人を引き連れて
現れたのだ。
どうやら、黒イチゴにはある秘密が隠されていたようで――
【感想】
短編だったら面白いのに、というのが真っ先に頭に浮かんだ感想でした。童話っぽい
雰囲気は嫌いじゃないのですが、短編を無理やり長編にしたような印象を受け、全体
的に冗長ですぐに退屈してしまいました。
私は個人的にリヒトが余り魅力的に思えなかったので、そのせいもあると思います。
恋愛の描き方も、主人公がドキドキして、リヒトもクールキャラかと思えば、
『ラズベリーを見たら赤面してしまいそうでこわい』
『ラズベリーは愛しくてしょうがない』
と、メロメロな様子……。
双方がお互いにドキドキする感じで描かれているだけで、いつ好きになったのかが全く
分かりませんでした。
謎はありましたが、その謎も明かされてみたら余り意外性がないように感じました。
(ただ、『秘密』は残されているので2巻目があるということだと思いますが、個人的
には続きが気になりませんでした)
それから、『くちづけは一度でじゅうぶん二度するな』という面白い副題が、ただの一発
ネタのようで余り作品に生かされていない点が残念でした。
執事キャラのリヒトが好きか嫌いかで、意見は分かれる作品だと思います。