マヤの遺跡に興味を持ち、その関連書を読むと必ず、スペイン人による新大陸侵略の際、アスティカ、マヤ民族やその他のインディオ達への暴力・略奪により、多数の人々が犠牲になったことを知る。そこで現地Iインディオ達の救世主として登場するのが、スペイン人カトリック修道士ラス・カサスである。彼は、スペイン人侵略者達の残虐行為を「インディアスの破壊に関する簡潔な報告」と題する論文にまとめ、セビーリャで印刷・刊行し、新大陸で行われている行為を世に知らしめた人物である。本書は、ラス・カサスの生涯とその活動を知る上で貴重な資料を提供してくれる。この本により、彼自身、かつてはインディオ達を搾取する側であり、ある時点を境にインディオ擁護に転換したこと、新大陸に来てから修道士になる決心をし、修行をしたこと等々を知る。彼によるインディオ擁護活動は精力的なものであり、大西洋を何度も行き来し、国王に直接謁見をして、植民地での残虐行為を説明している。彼自身の大胆な行動にも感動するが、教会による異端審問も盛んであった当時、これほどの活動をしながらに、反対勢力から殺害されることなく、生涯を全うしたことにも驚かされる。また、本書においてはラス・カサスへの著者による熱い思いが伝わってくる。序文において、著者は「ホセ・ルイス・アルバレス先生の指導の下、ラス・カサスの研究をした」と述べているが、アルバレス先生は大阪外国語大学のスペイン語学科の教授(クラシック・ギター部の顧問もされていた)であり、大学の箕面市への移転後は、スペイン語研究室とロシア語研究室は同階(8F)に位置していたことから、私(ロシア語学科生であった)は、先生から流暢な日本語で話しかけられたこともあり、アルバレス先生のことが思い出される、個人的には大変なつかしいと感じる本であった。