近代建築への信奉に異議を唱えた快作。合理主義・機能主義を標榜して20世紀を席巻してきた近代建築を唯一解とする建築家たちに、ラスベガスなど(日本のロードサイド建築や屋外広告も含まれる)商業主義が露骨に表れた建築に目を向けるよう意図され、彼らの思想に配慮しつつも挑戦的に書かれている。大家ミースのLess is moreに対する、More is moreである。表面的な装飾をはぎ落とした近代建築も、工業生産や工場建築をモデルに始まった点で、同じ資本主義である商業をモチーフとした象徴建築が軽蔑されるのは納得できない というのはうなずける。
ヴェンチューリの運動はポストモダンの先駆けと位置づけられ、そのポストモダンも凋落した今、建築界は結局近代建築(空間至上主義、の枠を抜け出せていない。情報をキーワードに建築家も創造性をふるっているが、現代建築というジャンルはおそらくまだ誕生していない。近代建築にとらわれない建築など可能であるのか? オンラインマーケットやサイバー大学なる空間を必要としない「場所」が生まれているこの時世に、建築家の革命を期待したい。