多くの方が指摘されているように謎な設定も多かったことは確かですが、深く考えずに
アメリカ人が作った日本の映画と考えればとても楽しく観られました。
アメリカに住んでおりますが、基本的にアメリカ人は「世界=アメリカ」という日常に
生きていますし、現代の日本のことでさえほとんど知らない状態ですから、それを考えれば、
逆にここまで日本の明治維新時代を描けたのはすごいと思います。
日本人=侍、武士道という風に考えがちですが、武士階層なんてほんの数パーセントだったわけで、
この映画をみて「アメリカ人には侍の心はわからない」とか思うのは違うと思います。
それよりも、(断片的で間違った情報もあるだろうけど)かつて日本にいた「武士」とその生き方が、
現代のアメリカ人(の一部)にまで影響を与えるような存在なのだという事実に素直に驚き、考えさせられました。
あと、「影の軍団」時代から好きだった真田さんの殺陣がハリウッド映画で観られただけでも幸せでした。
時代考証がおかしいと言う御意見の中でガドリング砲は維新時代には存在しないっていうのがありましたが、
戊辰戦争で見事なゲリラ戦を展開し薩長を非常に苦しめた河井継之助率いる長岡藩が当時日本に3門あった
ガドリング砲の2門を所有していたということは結構有名な話だと思います。
それから維新の時代になぜそこまで刀なのかという話もありますが、カツモトのモデルになった
西郷隆盛最後の戦いでは、逆に政府軍側が旧会津藩士を中心に編成した近代日本最強の白兵戦部隊たる抜刀隊が、
まだ薩摩示現流の使い手の多かった反乱軍と壮絶な白兵戦を行ったことで知られており、あながちおかしいとも
言えないと思います。
明治維新は、日本を舞台にした欧米列強の富と権力の代理戦争のような一面もあり、
当時はまだ新興国だったアメリカが、英仏に煮え湯を飲まされた(その報復が太平洋戦争での米英の立場逆転となるわけですが)
ことを考えると何やらこの映画も意味深になってくると思います。
当時英仏の商人が想定していた日本内戦の規模は、実際の数倍だったと聞きます。彼らにとっては千載一遇の儲け時
だったわけですが、倒幕側も幕府側も、双方が非常によくがんばって欧米資本家の狙いをなんとか未然に防ぎ、
多少の内戦はあっても、より多くの日本人が殺しあうことを防ぎました。
今現在、欧米の食指は戦争ビジネスによる利益ではなく、金融ビジネスによる日本侵食なのではないでしょうか。
明治維新とその前後において我々の祖先が本当に必死に守った日本を、我々現代に生きる日本人はどういう方向に進めようとしているのか、
映画のディテールは気にならないけど、そういうことが気になりました。