『バッテリー』シリーズ最終巻(第六巻)の最後に出てくる
新田東と横手二中の試合を絡め、
高校生になった瑞垣君を中心に物語が展開していきます。
(主要登場人物も出てきます)
本書は「マウンドへと」と「白球の彼方」の二つに
分かれています。
「マウンドへと」は
その試合前の風景。
巧や門脇君、瑞垣君などの
それぞれの心情が綴られています。
緊張感がこちらにも伝わってきます。
大部分を占める
「白球の彼方」は、
高校生になった瑞垣君の
野球やそれを取り巻く人々、そして門脇君に対する心の葛藤が
あの試合の回想や彼らの幼少時代を織り交ぜながら描かれています。
タイトルにある
「二度目はないですよ、瑞垣さん。」は
その試合で豪が瑞垣君に告げた一言です。
本書にはそのセリフが何回も出てきて、
試合中、そしてそれからの瑞垣君の心にも
大きな影響を与えていると思います。
(少しネタバレになります。すみません)
瑞垣君や門脇君の選んだ進路に対しては、
驚く方が多いかもしれません。賛否両論あるかもしれません。
(「白球の彼方」の第一章「バス停で」は
『野性時代』2006年12月号に掲載されているので
彼らのその後をすでにご存知の方も多いと思いますが…)
なぜ彼らがそうしたのか、これからどうなるのかが
最後まで細かく、目の当たりにする現実や回想も含めて綴られています。
あさの先生の独特の表現によって、
瑞垣くんの心情や彼らがあの試合で何を感じたのかが
痛いほど伝わってきて、苦しくなりました。
それでも支えてくれる人がいるしチャンスはある。
人は変わっていける。
簡単に言えることではないかもしれませんが、
希望がある物語ではないでしょうか。
人々の「変化」を感じ取れる一冊でした。
『野性時代』で驚いていたので、
読み終えたときは「ああこうなるのか」と胸に迫るものがありました。
門脇君、瑞垣君の“これから”が楽しみになる一冊です。
巧や豪も、最後の方できちんと綴られていますよ。
あくまでも瑞垣君が中心ですが、
できれば今後、巧や豪たちの心情や“これから”も
詳しく知りたいとも思いました。