タイトルからは「ZODA」や「BOA」のようなアニマル・パニックを想像するが、ホラー、バイオレンス、アクション、アドベンチャーなど様々な要素をバランスよく取り入れたSF映画。「呪われた禁断の森」に逃げ込んだ脱獄犯たちと、彼らを追う刑事たちを待ち構えていたのはジャングルの凶暴な生き物や美女バンパイア。彼らの危機を救ったのは森に住む美女姉妹だったが、彼女たちの一族にも、脱獄犯と刑事の父親たちが20年前に村から持ち出した秘宝にまつわる秘密があったというもの。
クリーチャーの造形や映像処理もタイ映画にありがちな安っぽさがなく、ストーリーも親子二代にわたっての因果譚になっており、細部までこだわって作られていることがうかがわれる。さらにガイド役を務める老狩人の娘や、森に住む美女姉妹たちヒロインが魅力的で、キャスト的にも手抜きがない。最初から私自身がハードルを低くしたせいかもしれないが、テンポがよく十二分に楽しめる作品。香港映画でもこのテのごった煮的なSFアドベンチャーはあるが、香港映画に欠かせない「笑い」の要素は排除され、しかも東南アジア独特の湿度感がいい。ラストも安易なハッピーエンドにしなかったところにも、仏教的無常観とともに制作者の矜持が感じられて後味は悪くない。
タイ映画のみならず、アジア映画ファンにお勧めしたい隠れた名作。