ネットとメディアの融合、シナジー、というあの当時題目のように連呼された言葉とその裏に隠された、メディアがもつ有形無形の資産を標的にしたマネーゲーム、というプロットがそのまんまなので読みやすい、、、と言うとまるで新鮮味がないようですが、某IT企業に事実上切られた宅配業者の課長サンがその某IT企業のビジネスを根底から揺るがすビジネスモデルを考案・・・というところでお話は俄然盛り上がります。そこがタイトルになっている「ラスト ワン マイル」。エンドに直接繋がる宅配業者は、ビジネスの枠組みそのものを決定するほどの影響力がある、ということをヒョンなことから絵に描いて見せた。
ネタばれになってしまうのでそのビジネスモデルには詳しく言及しませんが、言われてみれば・・・、というヤツです。件の課長氏の発案を口頭で聞いたときはニベもなかった上司の本部長氏も企画書に目を通した瞬間、アナを補うとともに企画のアイディアそのものの素晴らしさ・オリジナリティーが課長氏にあることを認め手柄を立てさせる、という管理者の鏡。後半のTV局との交渉・社内根回しで見せた本部長氏の見事な動きは「経営者・管理者かくあるべし」・何やら企業の管理職研修の様な様相を呈して参りますが、一抹の出来すぎ感はありながらテンポのよい筆致で最後まで引っ張る筆力は流石です。某IT企業マンも宅配本部長氏も座右の銘が「安定は情熱を殺し、緊張、苦悩こそが情熱を産む(仏哲学者アラン)」という設定。う〜ん。新幹線名古屋往復の友、くらいの軽いゴラクでどうぞ。