正直この映画は、「ばかばかしくてみてられない」作品です。
断っておくけれど、田村正和はいい仕事をしていると思う。かすれ声でセリフが不明瞭で何を言っているのかわからない部分は多いけれど彼の存在感は大きい。特に美咲の後輩の男をやりこめるシーンや鶴太郎とのすし屋のシーンでの彼の演技は、うならせるものがある。
伊藤美咲の演技はあいかわらずひどいのもおりこみずみだ。婚約者に電話で振られるシーンの彼女の演技は永久保存したくなるほどの下手さ。とてもプロとは思えない。とはいえ、美咲ちゃんも、なんで電話一本で伏線もなく突然婚約者に振られるという脚本にどう対処していいのかわからなかったのかも知れない。そもそも自分は美咲ちゃん見たさでこの映画をみたのだから美咲ちゃんのことは全て許す。
なにがばかばかしくってやってられないかって、それは「脚本」です。
◎ゴミ清掃員をしているかと思えば突然ニューヨークへ出張を命じられる公務員。そんなのアリ?
◎NYで数年ぶりにあったJazzクラブでの昔の音楽友達。ろくに挨拶もせず、いやいやステージにあがったかと思ったら急に店を出てしまう。いくらアメリカ人が明るいとは言え、友達としてかなり疑問のある行動
◎機内で偶然出会うのは許すが、子供のピアノの先生だったってそりゃ出来すぎじゃないか?
◎人の家の子供の誕生日にいきなり犬をプレゼントしない。
◎行方不明になった犬を探しているのに、「寒いから家に帰れ」と命じる親ってあまりにも動物の命に無責任じゃないですか?
◎嫁と一緒に時間を過ごせず、嫁の病気に気づかない自分を「オレがアイツを殺した」とまで言っておきながら、小さな娘を置いて勝手にニューヨークへ行ってしまう親。しかも娘と二度と会えないということをほぼ確信しているのにそれでも行くか?
◎「彼女を自分の人生に巻き込むつもりはない」とタンカを切っておきながら、最後はちゃっかり恋人気分で寄り添う二人
恋人と別れて傷心モードの27歳の美女が、ばったりNYで出会った世話好きでNYの案内に詳しいオッサンと二人で水割りを飲んでいると、突然普通のオッサンだと思っていた人が、実は名の知れたサックス奏者で自分の前のステージで演奏。で、「愛してるって行ってくれないの」とまで言わせておいて、それでも手をださない余裕。
田村正和という役者を通して体験するオッサンのファンタジー映画ですね、これは。