本作はラジオがメディアの中心であったウディ(役名はジョー)の少年時代、つまり太平洋戦争前・中の根のいい庶民の生活とマンハッタンのおかしなゴシップだらけの芸能人世界を、万感の思いを込めて描いた名品。結婚したいのに男運の悪い、ジョーのビー叔母さんをダイアン・ウィースト、クラブの煙草売りから出発して芸能界の階段を昇って行く女性サリーをミア・ファローが演じるが、その他ウディ作品に常連の俳優が出演し、常連のスタッフが制作している。
短いエピソードの積み重ねで、ウディの家庭と芸能界の間を話は行き来する。どのエピソードもおかしかったり、懐かしかったり(古き良き時代を懐古する情は万国共通だろう)、しんみりさせて秀逸。その中にオーソン・ウェルズの火星人襲来や戦争勃発を伝える歴史的ラジオ放送が挿入される。特に前者の結果、デート相手がパニックになってビー叔母さんは置き去りにされ、彼女は翌週のデートの誘いを蹴るが、その断り方に大笑い。その他、ラジオ・シティ・ミュージック・ホールの眩さ、父の職業を初めて知る場面、かつてサリーが無名時代に珍騒動があったクラブ屋上に人が集まり、去った後の寂寞感が特に素晴らしい。
ウディのモノローグが良い。特にラストの台詞は泣ける。
あの人たちも忘れないし、ラジオで聞いた懐かしい声も。でも現実は年が過ぎ去って行くにつれ、あの声この声が薄れていきます。
人が無邪気でいられた時代は去る。しかし、本作ほぼ全編のバックに流れる43曲は不滅。G.ミラー、D.エリントン、T.ドーシー、F.シナトラ...本作でもウディの音楽の趣味の良さが光る。
最初の質問の回答はダイアン・キートン。昔のパートナーの映画に、You'd be so nice to come home toを歌うためだけに快く出演する。ウディは良き盟友を持ったものだ。