出版社/著者からの内容紹介
愛の精神分析――必然性を担う者のこのような呼び出しが、エディプスコンプレックスの核心であるという考えは先に述べた。精神分析の仕事は、エディプスコンプレックスの解消に向かうものであるのだから、分析家は、呼び出されたこの必然性への志向、つまりは愛を、分析することが仕事になる。ラカンが、「科学が成立したのちに、精神分析が創出された理由、それは、愛について話すということは、いつになっても、悦びであるからだ」と述べるのは、そういう事情に基づいていると考えられる。人間主体は、存在と関係の必然性を与えられず、偶然性の中に落とし込まれている。このことはすでに大昔に言われていた。「人間は迷える小羊」であるという形で。こういった状態から、人々は必然性を回復したいと望むのでだ。かつては1人1人が、エディプス期においてその必然性を創り出したことがあったのに、それを見失ってしまったのである。それはなぜか。また、それを回復しようとすることは、間違ったことなのだろうか。――本書より
内容(「BOOK」データベースより)
対象aは黄金数である―ラカン晩年の言葉を手懸りに辿る、その生の軌跡と精神分析の本質。フロイト‐ラカン思想の根源に鮮やかに迫る。
著者紹介
1950年、大阪市生まれ。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。現在、同大学大学院人間・環境研究科助教授。妄想や幻覚などの病理体験と、人間の無意識との関係の理解につとめる。著書に、『夢と構造』―弘文堂、『無意識の病理学』―金剛出版―など。