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ラカンの精神分析 (講談社現代新書)
 
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ラカンの精神分析 (講談社現代新書) [新書]

新宮 一成
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

愛の精神分析――必然性を担う者のこのような呼び出しが、エディプスコンプレックスの核心であるという考えは先に述べた。精神分析の仕事は、エディプスコンプレックスの解消に向かうものであるのだから、分析家は、呼び出されたこの必然性への志向、つまりは愛を、分析することが仕事になる。ラカンが、「科学が成立したのちに、精神分析が創出された理由、それは、愛について話すということは、いつになっても、悦びであるからだ」と述べるのは、そういう事情に基づいていると考えられる。人間主体は、存在と関係の必然性を与えられず、偶然性の中に落とし込まれている。このことはすでに大昔に言われていた。「人間は迷える小羊」であるという形で。こういった状態から、人々は必然性を回復したいと望むのでだ。かつては1人1人が、エディプス期においてその必然性を創り出したことがあったのに、それを見失ってしまったのである。それはなぜか。また、それを回復しようとすることは、間違ったことなのだろうか。――本書より

内容(「BOOK」データベースより)

対象aは黄金数である―ラカン晩年の言葉を手懸りに辿る、その生の軌跡と精神分析の本質。フロイト‐ラカン思想の根源に鮮やかに迫る。

登録情報

  • 新書: 318ページ
  • 出版社: 講談社 (1995/11/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061492780
  • ISBN-13: 978-4061492783
  • 発売日: 1995/11/16
  • 商品の寸法: 17.5 x 11 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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23 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ラカン入門 2008/5/4
形式:新書
おそらく、日本語で書かれたラカン入門としては最も分かりやすいものです。

しかし、「一番分かりやすくてこれか!」という憤りを感じる人もいるかもしれません。
ラカンがまるまるすっきり分かってしまう、というわけにはいかないでしょう。
(おそらく、ラカンという人はある明確な意図をもって「分かりにくさ」を追求した人間です。それが善意によるものか悪意によるものかは分かりませんが)

著者の新宮氏は、ラカンの「対象a」という用語を「黄金数」という概念によって解説しています。

黄金数というのは、たとえば長方形の〈 長辺 : 短辺 〉の長さの比が、〈 長辺+短辺 : 長辺 〉の比と同じになるような関係のことです。
具体的な数字でいうと1:0.618…です。いわゆる「無理数」ですね。

ラカンは、この比(黄金比)が人間関係にも当てはまると主張しています。では、実際にこれを「人間同士の関係」に置きかえるとどうなるでしょうか。

それは、「私があなたを見つめる」という関係が、「私とあなたが私を見つめる」という関係に等しくなるということです。
〈 私 : あなた = 私+あなた : 私 〉という「比」ですね。

このとき、〈私+あなた〉というのは「他人」とか「みんな」のことだと思って下さい。

もしこの二つの関係が等しいとすれば、「私があなたを見る」とき、私はみんな(私+あなた)の視点から自分自身を見ていることにもなるでしょう。
「私とあなた(みんな)が私を見つめるように、私はあなたを見つめる」です。

この「あなた」を見つめるのと同時に見出された「私」、これこそが「対象a」にほかなりません。
この「私」は「みんなにとっての私」ですから、それはある意味「ほんとうの私」に一番近い存在でしょう。
つまり「対象a」とは「ほんとうの私」のことなのです。

すると、「私」にとっては「あなた」という他人が「ほんらい私のものであるはずの本当の私(対象a)を隠し持っている人」として見えてきます。
もちろん、「あなた」はそんなもの持っていません。「私」の一方的な勘違い、思い込みです。

「他人の中に私を求める」、これが人間関係を成立させる基本的枠組みだとラカンは云います。
人はいつでも、「私には(ほんとうの)私が欠けている」という不安定な状態で、他人との関わりを求めることになるのです。
これを、ラカンは「関係は、すれ違い(失敗した関係)という形でしか成立しない」という風に結論づけています。

こんなネガティブなラカンですが、いっぽうで「あなたの(他人と関係したいという)欲望をあきらめてはいけない」とやたら前向きなことを言ってもいます。
この意外性(?)が、彼の思想の魅力なのかもしれません。支離滅裂だと思う人もいるでしょうが…。
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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 ラカン理論は臨床に留まらず、精神分析を超えて、人間存在を規定

するもの、人間のありようを証明するものとして、哲学的・思想的な

価値を有するものであると考える。その傾向が強いがゆえに、臨床的

にこれがどのように活用されるのか、患者さん理解にどうつなげられ

るのか、といったことが削り取られてしまっており、臨床的有用性の

観点から少し物足りなく感じてしまうところである。

 精神分析は臨床の中から生まれ、臨床の中で活用されるものである

。しかし、ラカン理論は臨床の中で活用されるというよりも、思索的

に活用されることが多いように思う。ラカン理論を研究している人は

、臨床家よりも哲学者や思想家、文化人に多いことからもうかがえる

。精神分析臨床をしている人は自我心理学−クライン派−独立学派−

コフート派−対人関係論学派を基盤にしている人が多いのではないだ

ろうか。こういう風になっているのも色々な歴史的経緯が関係してい

ることが考えられる。

 ラカンの独特な考えや思想、技法はIPAの考えとはかなり異なっ

ており、IPAからは破門に近い形でラカンは追放されている。IP

Aに属さないということは、精神分析家や教育分析家と言えなくなる

ということであり、臨床指導ができないということである。ラカンは

その代わり、教育機関において臨床家対象ではなく、哲学者や思想家

、文化人を対象としたセミナールを開講することとなった。対象がそ

ういう人であったために、臨床というよりは思想的な観点が強調され

ていったのではないかと思われる。ラカンは臨床実践を軽視するなと

いったり、パリフロイト派を立ち上げたりの活動はしていたようだが

。こういうところから、ラカンが臨床家ではなく、非臨床家を中心に

思想が展開して行ったのではないかと思われる。
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形式:新書|Amazonが確認した購入
 「愛とは,持っていないものを与えることである」というラカンの有名な定式を知りました。ラカンの精神分析を貫く「愛」の形なんでしょうか。
 ラカンという名前は聴いたことがありました。しかし,その主著『エクリ』の翻訳の難解さや,彼が主催する団体周辺の軋轢などから,その思想や経歴に関する本を読もうと,食指が動くことはありませんでした。
 たまたまこの本を手にとって,目次を見て驚きました。「精神分析のロマネスク」「前夜」「ローマの隅石」など,最初は著者の個人的な話から始まる風変わりな章立てです。ついつい引き込まれてしまいました。
 この本を読んで,ラカンを理解したとは思いませんが,いくつかの驚嘆すべき知見に接して,改めて精神分析がきりひらいた人間の「影」のダイナミックな可能性に触れた気がします。
 「否応なく他者性を組み込まれた自己意識の発生論」として,「人間が自己を人間として決定する,その決定のメカニズムを明らかにしている」ラカンの代表的な鏡像段階論には驚かされました。「主体」は「他者によって欲望された者」として,「生まれ直さなければならない」という人間観は,「自己」と「他者」の実にダイナミックな関係が浮かび上がってきて,興味がつきません。
 「私のあるべき統一的な姿は,他人の中に囚われて」おり,「我々は夢の中で他者に出会うというよりも,むしろ他者になる」というやや詩的な表現も心に残りました。ラカンの思想には,「自由な主体」が余儀なくされる「不自由な部分」をしっかりと見つめながらも,同時にそれを乗り越える新たな「主体」の挑戦として,精神分析の役割を求め続けた考え方があったように思いました。「他者の欲望」への「愛」に触れて。
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