ル=グィンが、ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」をもとに、そこに登場するラウィーニアを語り手に描く「ローマ前夜」のファンタジーです。
ウェルギリウスと言う詩人も、ましてや「アエネーイス」と言う作品も知らず、「ローマ」の成立についても世界史の授業で習ったありきたりの伝説しか知らない私でさえ、「ローマ前夜」はかくもありなんと思える説得性のある文章で描かれています。
何よりも、今までのル=グィンの作品ほど説明的でなく、あくまで「物語」中心の作品であり、非常に完成度の高い作品です。
カバーに「ル=グィンの最高傑作」とありますが、確かにそう言えるだけの作品だと思います。
物語は、ラウィーニアがお告げによって、トロイア戦争の英雄アエネーアスに出会うもので、彼の波乱万丈の人生同様、幾多の苦難を乗り越えて、将来の王たるシルウィウスを育てる物語です。
非常に神話的な物語ですが、心に浸み込んでくる物語です。