Donny Hathawayの傑作とも言われる名盤"Live"。
元々Donny Hathawayの作品は全てが名盤と呼ばれる程クオリティが高い。それは彼の持つ豊富な知識と高度な演奏能力、そして天才的な音楽観が為せる業だったのだろうと思う。だが、この"Live"というアルバムはそれだけでは完成しない。
この"Live"の特徴として、録音された会場が小さなライヴハウスという事がある。バンドと客の距離が近く、アクションに対するリアクションが手に取るようにはっきりと聴こえてくる。そして呼吸の止まるようなファンキーで熱を持った演奏が否が応にもオーディエンス達の心を高揚させる。ライヴの持つ熱気、オーディエンスの歓声、会場内に高まる期待や感情の渦が一つ一つ詳細にゾクゾクするほど伝わってくる。
"The Ghetto"のイントロでは、観客達の手拍子が突然表の拍を叩くグループと裏拍を叩くグループとに自然に分かれる。ラストの部分では女性と男性に分かれたオーディエンス達による2パートのコーラスの上へDonnyのヴォーカルが乗っかっていく。Donny Hathawayの歌を中心にバンドも観客も全てが一体と化した雰囲気が漂う。自分もまるで会場内にいるかのように、その様子を熱中して聴きこんでしまう。そう、この音源を聴くリスナーでさえもこの音楽と一体と化してしまう。
これだけ多くの人の心を掴む理由は、やはりDonny Hathawayというアーティストの真摯な音楽と歌への想いと、彼自身が持つ大きな優しさという2つだと思う。包容力のある彼の暖かい音楽が全ての人の心へ大きな感動を呼び起こし、これだけの名盤が生まれたのだと思う。
全ての曲が素晴らしい作品であるけれど、僕はその中でも"Little Ghetto Boy"が一番好きだ。最後のフレーズ"Everything has got to get better"の部分はいつ聴いても胸に熱いものが込み上げてくる。