98年に、NHK「芸術劇場」で放送された「ピアソラの全て」という特集でも紹介された、貴重な1988年の東京公演の録音です。
これまで、MilvaとピアソラのライブでCD化されていたのは、1984年のライブ録音「エル・タンゴ」というアルバムだけで、これも今や絶版となってしまいましたが、ついに、出ました。
ピアソラの黄金期と言われる五重奏団が、ピアソラの体調悪化を契機に解散してしまう少し前の、まさに絶頂にあった頃。そして、数年前から世界中を演奏して回ってきたMilvaとのコラボレーションの最後でもあったこと。
この二つの前提が奇跡的に揃っていたのが、1988年のライブだったそうです。
「エル・タンゴ」から、さらにさらに洗練され、深みを増しています。
また、NHKのタンゴ慣れした録音チームが映像とともに録ったマスタテープが元ネタであり、音のバランスがすばらしい録音です。「エル・タンゴ」では、若干、低音が弱く、高音部が五月蝿い印象があるのですが、この「ライブ・イン東京1988」では、うっすらと余韻を残しながら消えていくコントラバスから、Milvaの息づかいまで、はっきりと判る精度で録られています。
スアレス・パスのバイオリンの高音とMilvaの叫びが絡みあう瞬間など、恍惚となります。
人によって意見が別れるところでしょうが、もしかすると、今まで最も評価の高いライブアルバム「AA印の哀しみ」や「Live in Wien」を総合点で凌駕しているかもしれません。
ピアソラ好きなら、否、音楽好きなら、必聴のアルバムです。