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クリーヴランドの音は、管も弦も、本当に素晴らしい。第一楽章の特徴的な冒頭の色彩感。第二楽章では、木管を中心とした音色で、寂寥感を呼び起こす。第三楽章は荒々しさの中で、細やかなニュアンスも欠けていない。この演奏を聴くと、この曲が完成度という点では、後の4番や6番、7番にも劣らない名曲であると実感できる。
第三楽章の終わりから、曲が終わるまでの14分余りは至福の時だ。弦のトレモロの刻みの美しさときたら、他に比較するものはないほどだし、管楽器のパワーも言葉を失うほどだ。
そして、各々の楽器が出す音が、スピーカーを通じて、柔らかな光の輪となって聴くものを優しく照らし、幸せな気分で私を包み込んでくれる。
既に死期を悟っていたと思われるセルの告別のメッセージは、寂しさを漂わせながらも、最後の最後に希望の曙光を付け加えてくれたように思う。
蛇足ながら、ジャケットの写真がまた素晴らしい。終演後、背筋をぴんと伸ばしたセルのちょっと得意げで、でも本当に嬉しそうな表情が、私を惹き付けてやまない。
前置きは、そこまで。実は、私、このCDのプログラムが70年にNHK-FMで放送されたテープのオープンリールでのコピーは持っております。コピーですし、再生できるデッキの無い今となっては、この演奏に接するすべはありませんでした。NHKのライブラリーがオンエアされる度にチェックを!!した日々が今となっては懐かしくさえあります。
シベリウスもとてもすばらしいですが、やはり、モーツアルトです。モーツアルトらしいか、らしくないかは別にして、とても筋肉質で透明感に満ちて、気品の漂っているト短調がここにはあります。手塩にかけた、クリーブランド管弦楽団はセルの意図を十二分に表現しきった熱演でした。この公演を直接聞けず、また、帰国直後の死の報と言う、二重のショックも、もう充分に時効でしょう。こうして、非常に良い状態の演奏にまた、接することが出来るのですから。
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