ブルース・スプリングスティーン初の一公演完全収録のライヴDVD。選ばれたのは2002年10月に行われたスペインはバルセロナでのライヴだが、この際場所などはどうでも良い。のっけから熱い演奏を展開してくれる。
もったいぶった演出もなく、ごく自然に登場してブルースが歌いだす。ただそれだけなのに、何故か観ていると胸が一杯になる。彼のファンなら誰でもそうであろう。言葉や国境を越えて、彼の歌には確実に人の心を捉えて離さない何かがある。
「ザ・ライジング」の楽曲中心に新旧織り交ぜた選曲になっているが、曲順が絶妙である。「ワールズ・アパート」から「バッドランズ」になだれ込むところなんか、もう理屈では語れない。これぞロックの真髄、と思わずにはいられない。
コンサートの終盤、ブルースが観客に向かって「シーッ」とやる。それから聴きなれたあのハーモニカのフレーズを吹き始める。「涙のサンダーロード」を静かに聴けるほどファンは冷静ではない。静かにできるとしても涙が止めどなく溢れてしまう。
とにかくこのDVDの素晴らしさは一言では語りつくせない。ブルース・スプリングスティーンは間違いなくアメリカの良心、ロックの良心そのものである。