DVD発売前にNHK BShiで放映されてしまうというフライングがありましたが(個人的にはNHKのナイスプレーと思いますが)、何と長いキャリアの中で初めて本人がリリースを認めたオフィシャルDVDです。収録は07年11月、ロンドンの有名なジャズクラブ「ロニー・スコッツ・ジャズクラブ」(かつてクラブ主催の新人ギタリストコンテストでアラン・ホールズワースがグランプリをとりましたね)。メンバーはヴィニー・カリウタ(d)、ジェイソン・リベロ(key)、タル・ウィルケンフェルド(b)という構成でラストになんとエリック・クラプトンが飛び入り参加します。
約25年前に軽井沢でロックフェスティバルが開かれ、ジェフ・ベック、カルロス・サンタナ、スティーヴ・ルカサーの三大ギタリストの共演があり海賊版のDVDを所有していますが、当時はまだまだ尖がっていたベックからは「孤高のミュージシャン」の匂いがプンプンと漂っていました。バンドというよりはベックとその他の人たちという感じですね。しかし、NHK BSとこのDVDで躍動するベックには、そんな面は微塵も感じられません。そう、見事にバンドの体をなしているのです。これは紅1点、当時弱冠21歳のタル・ウィルケンフェルドがもたらす影響が大きいのでしょう。こんなに感情豊かに楽しそうにプレイする人を初めて見ました。21歳が63歳を煽ったり、煽られたり、微笑みあったりしているうちにバンドとしての一体感がにじみ出てきます。もちろんベックの手元は執拗なまでにドアップになりますから、すべてのギター好きには堪らない作品に仕上がっています。そうそう、ゲストの女性歌手といい「男祭り」的な昔のイメージとまったく違う雰囲気にも驚かされます。じゃあ、さすがにベックも丸くなったのかと思いきや、プレイそのものは尖がったままだから凄いのです。
最後にDVDの特典としての本人インタビューが収録されています。もちろん日本版は日本語字幕付きなので安心してください。