ブルーノートのマリーナ・ショウと言えば、まずなんといっても、悶絶ものの傑作「フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ?」が思い起こされるが、本作は、それに先立つ、73/7/5のモントルージャズフェスでのライヴだ。ピアノ・トリオがバック。
「初CD化」と書いていないから、以前にもCD化されたのだろうが、今回の再発で初めて耳にする。
オープニングは、普通のクラブ系ジャズ歌手みたいな感じでちょっと肩透かしだが、スティービー・ワンダーのカバーである3曲目を、エレピ・バックで歌い上げる辺りから本調子。
ボブ・ドロウの「バット・フォ・ーナウ」は、アコピでのバッキングだが、彼女のヴォーカルの凄さをストレートに味わえる。
そして、本作の山である、マーヴィンの「セイヴ・ザ・チルドレン」に続く。彼女のブルーノートでのファーストで取り上げられていた曲だ。(「フー・イズ...」の陰に隠れがちだが、そのアルバムも最高だ)
最後は、オリジナルの「ウーマン・オブ・ザ・ゲットー」の10分に及ぶヴァージョンで終わる。(この曲のベースライン、どっかで聴いたことがあるなって頭ひねってたが、「カム・トゥゲザー」のパターン少し崩した感じなんだ...って、僕には聴こえますが)
LPと同じたった35分で終わるのが恨めしいくらいの、熱気溢れるすばらしいライヴだ。テープの残りはないのだろうか。
本作を聴いて改めて思ったのだが、マリーナの真髄は、アップテンポでシャバダバかますありきたりのジャズ・ヴォーカルにあるのではなく、エレピをバックにしっとり、時に激しく歌い上げるところにあるとおもう。
たとえば本作でも、アニー・ロスとワーデル・グレイの「ツイステッド」あたりは、オールド・ジャズ・ファンは安心して聞けるかもしれないが、僕なら飽きる。こんなの、他の人でも唄えると思うからだ。
...彼女は、ニーナ・シモンみたいに、ジャンル分け不能のヴォーカリストで、特定のフィールドから飛翔したときに真の価値を発揮出る歌手だった。
ところで、今回の「ニューノート・クラシック・シリーズ」ラインナップの目の付け所は大変良いが、ライナーは、MUROという人と二木崇という人の対談形式で統一している。
これが、自家撞着、一人(二人?)よがりの無駄な発話部分が多く、読んでいてイライラする。
原田和典とか、そういった人に、情報満載のきちんとした文章を書いてもらったほうがユーザーにとってはありがたかった。