怖かった。他人が怖くなった。街角で擦れ違う人々、コンビニで、タクシーの運転手や、
喫茶店のウェイター、イタズラ電話で、風俗街で、道を教わりたくても、街で他人に
声を掛けるのが怖くなった。
作中、次々と登場する危ない変人たちのオンパレード。
友達の友達だと偽り、スタンガンで待ち合わせ女を狩る男。ホームレスの女の子を、
妹として飼っては捨てる中年ホステス。コブシで女の眼球を潰す事に快感を覚える男。
今からウサギを殺しに行くから観に来ない?とナンパする男。
ひょんな事から人々が出会っても、決して本心を本名でさえ明かそうとしない猜疑心に
満ちた主人公たち。名前なんかどーでもいい。「分かり合うこと」をあきらめた人たちは、
少し悲し気。一期一会?「ふざけんじゃあないですよ!」そんな呑気では、この世の中、
命が足りません、という様なメッセージに取れた。
この作品、上記の様な数々の場面で、交錯する危ない現代人たちを次々とバトンリレー
の様に描いている。それこそ、たかだか十数ページで次々と主人公が入れ替わる。
一章ごとにアッケなく消費されていく登場人物たちだが、その存在感・リアリティー
に引き込まれついついページをめくってしまう。恐ろしいけど好奇心をくすぐる人物たち、
キモチ悪いけど異様な快感を備えた麻薬的文章。う〜ん、アンビバレンスです。
PS●全20章 243ページ いっきに読めました。(18名の要注意人物が登場)