この本は質的研究に限らず,研究という営為そのものを取り上げた本だといえる。
前著のベーシック編は,
読んですぐ実践できそうな研究のテクニックがいくつも収録されており,
研究を開始する前から,研究のコツを知ることができるような本だった。
本書も「論文執筆の技法」や「研究を評価するための視点」といった章を設け,
実践的な解説書であろうとするスタンスは変わっていないが,
ベーシック編と比べると難解な印象を受ける箇所があった。
それは,研究の理論的基盤を解説しようとしている箇所である。
そこで,しっかりと紙幅を割いて講義されていたことは,
研究の背景となる理論ではなく,研究を行うための理論だった。
本書では,それはメタ研究法と呼ばれている。
メタ研究法を知ることで,これまで何となく採用してきた研究の
方向性や方法により自覚的になれるのだろう。
本書を読解するには苦心する箇所もあったが,
その苦しみを乗り越えることで,新たな視点を得ることになった。
また,ある章で著者への批判論文を取り上げ,真っ向から批判に応えながら,
批判が内包する問題の構造を明確化している構成は見事だと思う。
全体的な構成は,後半になるにつれて内容がマニアックになっていた。
講義形式というスタイルのおかげで,さらさらと読み進んでしまうが,
やはり重要な箇所では慎重な読解を要した。
ときどき他愛のないおしゃべりが差し挟まれていて,
講義形式の雰囲気が出ていて面白かった。