2008年2月、ライブドアとは関係のない事件(ICF社の偽計取引事件)で著者は逮捕された。その後、不起訴処分になったようだが、問われたのは不当に高い価格の株価鑑定書を作成したことによる罪で、本書の出版以前の業務についてである。なお、その際の報道では「公認会計士田中慎一」とされていた。本書で高らかに宣言された公認会計士資格の返上はなされなかったようである。そのようなことも考慮しながら読んでいただきたい。
個人的にはライブドア事件は、純粋に会計不正事件としてとらえれば、極端に悪質なものではなかったように思っている。著者も本当はそう思っていたのではないだろうか。問題視されていないもっとひどい話が当時はたくさんあったじゃないかと。また、著者は経歴を見る限り30歳そこそこでライブドアの監査報告書に署名をすることになったようだ。色々書いているが、内心は嬉しかったはずである。そんなことも考えながら読むと面白いかもしれない。
本書自体は、やや皮肉を込めて言えば「優等生の反省文」としてよく書けている。(本書の出版自体が重大な守秘義務違反であることを除けば)内容もごもっともなものである。読む価値はあると思う。文章も緊迫感がありながら平易であり、読み手は選ばない。