本書は元国税捜査官の経験を生かして検察の動きを推測して、その推論の上に立った仮説を披露したものである。
その仮説とは、小泉政権下で森派の代議士が法務大臣になって以来、不祥事が効果的に摘発され、ライブドア事件はその一つに過ぎないというものである。ライブドア事件以外にも、元近畿郵政局長の高祖参議院議員が選挙違反で辞職した件、加藤代議士事務所が脱税の疑いで強制捜査を受けた件、社民党の辻元清美代議士に秘書給与疑惑発覚、田中真紀子代議士に秘書給与疑惑発覚、橋本元総理が日歯連から1億円の小切手をもらったことが発覚などである。それぞれの発覚のタイミングが小泉政権のピンチを救っている。ライブドア事件は耐震偽装事件をカバーするためであり、またホリエモンの罪状を確定することはきわめて難しいと説く。特にライブドアは粉飾とは言っても、利益を隠したのではなく、利益を過大に見せたのであって税の立場からは税金を余分にはらってもらっていることになると書いている。
見方を変えれば、小泉政権が安定的な政権運営を出来たのは、政治テクニックにも長けていたからといえる。その政策についても、著者は貧富の格差を拡大したと批判している。特に証券税制を甘くしたことを批判している。
憶測に満ちてはいるが、国税捜査官の経験に基づき検察官僚の行動パターンを読んでいるので、一気に興味深く読めた。