この人の音楽は不思議だと思う。曲とかアレンジとかはシンプルでどちらかというとあっさりしている。声もしっとり落ち着いているけどちょっと寂しげで華やかな声だとは言いがたい。前作"No Angel"でドラマや映画、エミナムがらみでヒットした収録曲"Here with me"にしても"Thank You"にしても、異論はあるかもしれないけれど、単体の曲としてそう派手で目立つ曲とは私には思えない。
でも、はまる。何故か聞き入ってしまう。今回の"Life for Rent"もそう。シングルカットされてヒットしている曲もあるようだが、シングルカットされた曲も含めて、決して全体として華やかさを感じない。華がないのではなく、華が控えめな感じなのだ。一般的なソロの女性シンガーのアルバムが薔薇とか百合とか、蘭というイメージだとすれば、スミレという感じが一番近いかもしれない。だけど、そのスミレは手にとってみるとすごくいい香りがするスイートバイオレットだった。
ダイドの音楽は、そんな感じがする。しみじみと聴けて、繰り返し聞いても飽きがこない。
ところで、国内盤だけなのか、輸入盤もなのか分からないけれど、"See the Sun"の後、1分くらいのかなり長い空白をおいてシークレットトラックが入っていた。ブックレットにも日本語解説にも言及のない正真正銘シークレットトラック。2分半くらいの短い曲ながら、心に沁みる曲だったけれど、この曲、なんというタイトルなのだろう?