事件として報道されることの中に、中年の蹉跌が多い。
覚醒剤に手を出す芸能人。痴漢でつかまる有名人。
本書を読んで、一見お互いに関係ない個人の転落が、実はライフワークの欠如という点で
共通するのではないかと考えるようになった。
ある年齢で「ああ、自分の人生ってこんなものなのだなあ。もうわくわくするようなことは
起きないかもしれない」などと、ふと思う。そして危険な刺激に接近する。
いや、これは第三者のことではなく、評者自身の問題でもある。
外山さんは、力強く男らしい筆致でこう書く。
「倒れる瞬間まで、刻々前へ向かって自分の充実をめざして進んでゆくというのであれば、最後の一日があるかないかということが、その本人にとってはもちろん、社会全体にとっても大きな違いとなるはずである」
その通りである。倦怠に沈むひまなど本来ないのだ。