スティーブ・ライヒは60年代に入って「ミニマリズム」という手法をアカデミックに持ち込んだ、いわゆるところの実験音楽家。そう、今どき色々な分野に定着している「単一のパターン(の繰り返し/変化)」というやつだ。ハウス、テクノだってその遠いご先祖にはこの人の諸作品が並ぶ。確かに普通のポップミュージックのようには聴こえないかもしれない。でもスーツを着込んで固いシートにしゃっちょこばって座っている必要も無い、彼が作るのはそんな音楽だ。人力リピートの作り出す、不思議なグルーブを持った音楽。クラシックという土壌に育ったライヒはそれでいて自在だ。
そうだな、春もしくは少し涼しい夏の夜なんかにカウチでウトウトしながら…
『It's Gonna Rain』、『18人の音楽家のための音楽』のような玄人向け、ハードコアな作品もあるけれど、『ライヒ入門』なんてハウツー物はちょっとあざといよねぇ…。ということで彼がパット・メセニーと共作した『Electric Counterpoint』。ギターによって個々のフレーズが段々と積み重ねられて、一つの曲を作り上げ、出来上がったように見える曲は繰り返されるフレーズのわずかな変化で表情を変える。3部構成、特にラストは印象に残る。このフレーズはアンビエント・テクノ(懐かしいね)の王様、the Orbの手で、「Little Fluffy Clouds」 という稀代の名曲に生まれ変ることになるんだけど、オリジナルの”静謐な熱”、とでもいうような手触りはやはり代え難い。