ミホノブルボンの3冠を阻み、メジロマックイーンの春の天皇賞3連覇を阻んだ馬。関東の刺客と呼ばれ、敵役を割り振られた馬。ふてぶてしくて、気まぐれで…そんな悪役のイメージと、実際の彼とは対照的だ。小柄で、真面目で、かしこい馬だったと言う。
このDVDを見ると、個人的には、やはりすごく「強い」馬、「速い」馬ではなかったように思う。記録のかかった大レースで皆の期待をぶち壊して勝つくせに、普通のレースで惨敗する、とよく非難されていたが、この馬は極限の気力で走る馬だったのではないか。大レース、能力を超えて、気力で頑張る馬だったから、そのダメージも大きかったのではないかと。感動したのは、復活の春の天皇賞。自ら動いたロングスパート、ふらふらになりながら粘りきった。もしかしたら、あそこでふりしぼった気力は、命すら縮めるものだったのかもしれない。
このDVD。いつも彼の側にいた厩務員さんのコメントは出てこない。あの宝塚の後、引き綱を持って号泣していた。昔話ができるほど、まだ思い出にはできないのだろうか?
ライスシャワーはいい奴だった。ちょっと頑張りすぎる奴だった。私は彼の走る姿を見るのが好きだったので、あの宝塚の後、しばらく競馬を見なかった。競走馬は命がけで走っているということを、思い知らされた瞬間だった。
このDVDを見て、真っ黒な小さな馬がただただ懸命に大きな馬に食い下がり、最後、ねじ伏せる瞬間を思い出した。覚えておくなら、この姿の方がいいと改めて思った。