アイルランドの寒村、ローズ(S・マイルズ)がヒロイン。彼女は、恩師でもある年の離れた教師(R・ミッチャム)に恋焦がれて結婚するが、平凡な夫との生活に不満を感じ、性的満足も得られない。そんな時に村に現われたのは、甘いマスクの、心身共に傷を負った英国軍少佐。
ローズは少佐と不倫関係を結び溺れていくが、やがて悲劇的な結末へと進む。
圧倒的に美しいアイルランドの情景と、厳しい自然環境をとられていて、壮大な映像美にひきこまれます。
ローズが、初めて森で少佐と結ばれるシーンの美しさは特筆。
木々の間に張られた2本の蜘蛛の糸のきらめき、たんぽぽの綿毛が風に飛んでいく美しさ。樹木についた苔の深い緑、浜辺の砂と打ち寄せる波など、どれもが絵画のようです。ローズを演じたS・マイルズは、誰でも陥りやすい危うさと、揺れる心情と人間の業の深さを見事に表現してます。J・ミルズの演技も凄いです。また、R・ミッチャムもタフガイのイメージとは異なった、静謐な演技。
アイルランドが独立を目指し、地下活動の部分も描かれていて、イングランドとアイルランドの関係に興味がある方にもおすすめ。嵐の海辺のシーンは迫力がありました。
特典映像も充実、D・リーン監督とR・ミッチャムが不仲だった事なども語られています。本作は公開当時は、欧米で酷評されたらしいですが、オスカーでは撮影賞と、助演男優賞を獲得。
壮大なスケールでアイルランドの自然環境を、撮影日程や費用の点で妥協せずに撮った、D・リーン監督達の偉業に触れるという意味で、一見の価値がある作品だと思います。