「十三世紀から現代までに匹敵するほどの長い間、ヨーロッパでは、『平和』とはごく稀な現象でしかなかった」。
封建時代から現代まで、ヨーロッパにおける戦争の方法とその変化について述べた一冊である。歴史的な出来事を順に述べている本ではなく、兵器や兵站や兵力や戦い方やその背景に焦点を当てて解説を行っている軍事の本である。1970年代に書かれ、2008年に結びの章が加えられているとのことだ。
騎士が中心だった時代。傭兵。重商主義以降の経済力と海軍力の間の強い相関関係。ナポレオン軍の強さともろさ。科学技術の進歩が大砲を進歩させると同時に歩兵を強力にし、次第に騎兵を不要なものにしてゆく。鉄道網の進歩が大軍の移動と兵站を容易にする。国家総動員体制によって大規模な兵力が投入される。
ヨーロッパで書かれた本らしいなと思うところは随所にある。例えば、軍事の歴史に詳しい人であれば、中世ヨーロッパや、スペインやオランダ、ポルトガル、フランス、イギリス、プロイセン、ロシアについては、既に知っていることも多いだろうが、スイスが戦争の進歩に果たした役割について詳しい人は日本では少ないだろう。
訳文はあまりよくない。翻訳ものだから、ある程度は仕方のないところ。内容の理解が難しいというほどのレベルではない。