おそらく、著者が想定している読者が、かなりの山の練達者、またはヨーロッパの事情に詳しい人なのだと思います。私は、一度スイスの山を家内と歩いて、昨年オーストリア・チロルへ行きたいと思い、事前研究をしたいと思ってアマゾンで購入しましたが、普通のガイドブックを想定していたら、全く違いました。本の中にも書いてありますが、まず地図は「自分で買うこと」とあり、このガイドブックでは、詳しい地図は全くありません。従って、登山口もコースそのものも、地名と所在地を知らない人には、全く判りません。その意味では、著者の言う、「一度行って、土地勘を持って、この本を読んで、二度行きたくなる」悔しさを味わう本です。実は、今年もイタリアドロミテへ行こうと思っていて、この本を引っ張りだして再読したのですが、やはり我々のレベル(夫婦二人の夏山登山)では、どこのコースを選んだら良いのか、そのためには、どこに泊まれば良いのか?などが、この本からは、なかなか組み立てられません。(前年買った、欧州のロードマップと、インターネットと首っ引きですが)。ただ、私が、敢えて4ツ星の評価をさせて頂いたのは、おそらく他には例を見ないほど、山の本としては、質量ともに充実していて力作であると感じるからです。ご自分の経験に裏打ちされた、内容と文章には敬意を感じますし、ガイドブックとしてではなく、ヨーロッパアルプスの読み物として読めば、読み応え充分です。 ただ多くの日本人は、おそらく私程度の山の経験で、かつヨーロッパの土地勘は、あまりないと思いますので、その意味では、この本は目線が高過ぎて、おそらく本屋さんで、手に取った人は、”怖気付いて”買わないで本棚に戻してしまうのではないでしょうか?