親に捨てられホーム(エリザベスサンダースホーム)に入り、そしてホームを離れ遠い異国アメリカに渡り、そしてそのアメリカで「よそ者」として排斥された人のお話です。彼はアメリカに溶け込もうとし、それはかなえられたと思うのです。穏やかな性格で、万能のスポーツ選手だった彼は人々から愛されます。そして「ぼくはもう“よそ者”じゃない」と思うのです。
ですが、その希望はあっさりと壊されます。そして彼はベトナム戦争に行き戦死します。
彼は本当によい人たちに恵まれ、そういう点では間違いなく幸せでした。ですが、やはり自分の居場所は無かったと思っていたのかもしれないと感じてしまいます。
彼が実のところ自分の人生をどう考えていたかは知る由もありませんが、やはりその人生の不条理なものを感じてしまうのです。
彼は「必ず迎えに来るから」という母親と約束の指切りをしました。ですが、結局母親は迎えにはこなかったのです。これがどれほど彼の心に深い傷を負わせたでしょうか。ですが、彼はきっと一時たりとも母親のことを忘れたことは無いのでしょう。
子供たちは本来親の絶対的な愛情によって庇護されるべき存在であることと、同時に差別と言う非生産的な振る舞いは決して許されないことを再確認した本です。
1951年に撮影されたホームの子供たちと園長である澤田美喜の写真がありました。2、3歳から3、4歳と思しき子供たちの顔立ちは実にさまざまです。どの子も間違いなく庇護を必要とする幼子です。どの顔もちょうど自分の息子や娘と重なってしまいました。ですが、私の子供たちは少なくとも両親がいます。しかし彼等には両親がいないのです。そして多くは母親の国からも父親の国からも排斥されてしまうのです。
彼等の過酷な運命に思いをはせ、その写真だけで涙が出ました。