ギターを片手に、デビューアルバム"HOLLY"を引っさげて世界へと足を踏み出した彼。変転の激しい音楽業界にあって、先を急ぐことなく、地に足をつけて歩み続けている。日本人の血を引く彼には、親近感を覚えるが、アメリカ生まれ、カナダ育ちだけあって、作品の中に日本人らしさは感じられない。日本語も全く駄目らしいが、日本版のみのボーナストラックで1stシングルの"After Tonight"を日本語の歌詞で熱唱しているのは、ちょっと滑稽ではあるけれど、それはそれで、まじめで誠実な彼の人柄が伝わってくるようで、悪くはない。
1作目では、ほぼギターだけといっていいようなシンプルなアレンジであったが、今作では、彼のバンドを得て、前作以上に厚めのアレンジの作品が多い。時にそれは、必要以上と思われなくもない。たとえば、4.Heartless などは、YouTubeで流されている生ギター1本で熱唱するライブ映像と比較すると、必ずしもアレンジが成功しているとはいえないような気がする。とはいっても、基本的には、アコースティック路線は変わらず、なるべく彼の歌声のよさを引き出す作品になっていることは確かだ。
5.My Heart Is Yours(1stシングル)や11.Hollow Men など、ギターアレンジの冴える作品が彼の魅力。なかでも、7.King With Everything は、今作のアルバム中のクライマックスとなる作品だ。そっと、心の中にしまっておきたくなる。この曲を聴けるだけで、このアルバムの価値があるといってもいいくらい。こんな曲がかける彼は、やはり、才能があるのだろう。
このまま、地に足をつけながら、ゆっくりとどこまで彼は行くのだろう。きっと、まだまだ、彼は、高みへといくと思う。駆け上がりはしなくても、ゆっくりと彼なりの足取りで。