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ユーロ連鎖危機 漂流する「通貨同盟」
 
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ユーロ連鎖危機 漂流する「通貨同盟」 [単行本]

有田哲文
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

2012年1月に流通10周年を迎える欧州の共通通貨ユーロ。ギリシャに端を発し、スペイン、ポルトガルなど各国に飛び火した財政危機の深層を朝日新聞ロンドン特派員がルポ。高福祉社会という理想の崩壊を生活者の目線から描く。

内容(「BOOK」データベースより)

「ギリシャ発、世界恐慌」―危機の前線から緊急報告。PIIGS各国に加え、ドイツや非ユーロ圏のイギリスにも取材。欧州財政問題の「正体」に迫る、ビジネスマン・投資家必読の書。

登録情報

  • 単行本: 224ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2011/7/20)
  • ISBN-10: 4022508779
  • ISBN-13: 978-4022508775
  • 発売日: 2011/7/20
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By solaris1 トップ1000レビュアー
 本書は難しい経済・財政・金融面での欧州危機の解説本ではありません。現在の欧州ユーロ危機の経済・財政・金融面の解説本としては、ほぼ2010年6月までの状況を扱った白井さゆり氏「欧州激震」が、本書と重なる、ギリシア、スペイン、イタリア、アイルランド、ドイツの状況他のマクロ経済の状況と各国政府やEUの対策を詳述・分析しており、資料的な解説本として役に立ちます。では、「欧州激震」以降、2010年7月から2011年夏頃までの最新情報を扱っている書籍として二冊読みました。ひとつは白井さゆり氏の続編「ユーロ・リスク (日経プレミアシリーズ)」(6月出版)、もうひとつが本書です(7月30日出版)。

 「ユーロ・リスク」は各国の財政対策が主に述べられている書籍で、最近の新聞と、「欧州激震」の間を埋めてくれます。しかし、「欧州激震」でユーロ化以降の主要指標のグラフや各国状況が語られている為、最近の新聞を査読していれば、「欧州激震」を座右においておけばカバーできそうに思えます。一方本書「ユーロ連鎖危機」は、紀行文的に各国の主要人物や一般会社員、労働者へのインタビューが中心となっており、紀行文的に各国状況が描写され、数値や政策の列挙だけではなく、血と肉を持った社会とひとびとが描かれ、イメージとして頭に入りやすい内容となっています。財政・経済指標は、「欧州激震」を用意しておけばカバーでき、しかも本書は「欧州激震」のその後の2011年6月頃の状況まで扱っています。この点で、「欧州激震」と「ユーロ連鎖危機」は相補的に利用できる書籍だと思えます。

 欧州各国は、それぞれ経済力や経済の性格が異なり、一見同質的に見えた危機も、その背景となる理由は様々であることがわかり、産業政策や財政政策の相違があっても、一斉に危機に陥る様相が描き出されています。その状況は、日本のあり方と無縁ではなく、著者は最後に「日本は、ギリシャやポルトガルと、ドイツを足し合わせた国ではないか」と指摘しています。累積債務が多く財政規律の低いギリシャ、無意味な公共事業(意味のある公共事業もある)に補助金をつぎ込んでしまったポルトガル、輸出力のあるドイツ。ユーロ危機から日本は何を学ぶことができるのでしょうか。

 ギリシア、スペイン、イタリア、アイルランド、フィンランド、デンマーク、ドイツ、英国、ポルトガルなど多くの国を扱っている為、全体として浅い感は否めませんが、有用なルポルタージュ本だと思いました。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
ギリシャ危機に始まり、アイルランド、ポルトガルに飛び火していくユーロ危機を、各国を足で歩いた取材で構成するルポ。
実際現地を歩き、地元の声を取材しているだけに類書とは一線を画す迫真感がある。

著者があとがきに書いているように、今のEU諸国が進んでいる方向は日本がバブル崩壊後に歩いてきた道にも類似しているが、借金を国内で消化できない時にどのような道が待っているのかという視点で見ると、むしろこれからの日本の姿に重なって見える。

本書から見える現地からの報告では、想像以上にユーロの危機は大きいと感じる。

 また、主題とはやや異なるが、イギリスのキャメロンがあえて不人気政策をとり補選で負けても次の総選挙は2015年。日本の参院がお手本にした上院(貴族院)はその権限が大幅に弱められて一院制に近い姿となっているという。
 このため、腰を据えた政策を実現することができるのである。
 これを衆参ねじれ現象から何も決められず、1年ごとに首相が交代している日本を振り返ってみると、大きな落差を感じるとともに政治改革の方向性も見えてくる。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 当初、繰り返された戦争の防止策として発展してきたユーロ体制は
政治体制の統一がなされないまま、通貨統一を成功させた。統一地域
内での自由化がなされ、輝かしい未来が約束されたかに見えたユーロ
がなぜ危機に陥っているか。ギリシャ、スペイン、ドイツ、アイルラ
ンド、デンマーク、イタリア、イギリス、ポルトガルの実情をレポート
するとともに丁寧な分析がなされている。ユーロ内では競争力が強い
国であっても、統一化されたユーロによって保護され為替が高騰する
ことはない。逆に競争力が弱い国でも実力以上の為替が維持される。

 日本で例えるならば、競争力の無い農林水産業のおかげで、自動車
電気などの競争力の有る産業が円高を免れているようなものである。
統一政権内での産業分野ごとの格差の場合、丁度日米繊維交渉で補助
金によって繊維産業を救済するとともに自由化を果たすという格差
軽減策もできるが、統一政治体制が不可能なユーロ圏ではそれがうまく
いかないということなのだろう。先人の蓄えた国内資金があるうちに
日本も財政再建、産業間格差の是正を行っていかなければならないとの
考えを新たさせてくれる著作である。
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